生きることと死ぬこと
結婚して子供を産んでから
父とよく話すようになった。
今までずっと無口だった父。女三姉妹に母と祖母の女だらけのこの家で無口を30年も貫いていた父。
結婚、出産や育児を通してポツリ、ポツリと話すような仲になってきた。
今日は、死後の話をした。
両親は酪農をしているので、自分たちがもう働けなくなった時誰にこの土地を譲るのか、どこに住むのか、そんな話をしてきた。
正直聞きたくなかった。両親はずっと変わらずに私の両親でいてほしい。いつまでも。
会うたびに増える白髪と顔の皺。ぁあ、歳をとっていっていると会うたびに実感する。
看護師として沢山の人の『人生』や、『死』に関わってきた。その度にこの患者さん、家族は死を理解していない。そう思うことが何度もあった。でもそれは、家族だからなんだなと今日思った。
病気や疾患の理解ができていないからなのではなく、理解したくないからなんだなと。
家族の死、残された命の期間をはっきりと理解することは難しい。それは、医療従事者である私も同じ。
死からしか生は学べない。
いつかくる死を見据えるからこそ、今の『生』を感じることができる。
私は今夜そんな体験をした。今まで永遠だったような両親の命の終わりを感じた。
これが本当の『生』のスタートだと思う。
残されている毎日を大切に生きていかなければいけない。
さぁ、わたし、なにをする?